ポートランドレポート 雨水活用視察

アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドへ

雨水に関わるランドスケープデザイン及びグリーンインフラの事例 視察 
2019.1.25(株)基住 設計 善見 昌浩
ポートランド視察マップ

 

 

 

 アメリカ合衆国、オレゴン州 ポートランドへグリーンインフラの取り組みについて視察に行ってきました。

ポートランドでは、EPA(アメリカ合衆国環境保護庁)の基準から大気や水等の水準が悪いという指摘から改善しようという流れになりました。 また、ポートランドは10月から5月にかけて長い雨季に入り、その季節以外は乾季に入る環境である事から、 日本と同じく下水道施設負担の問題や、豪雨時の下水道施設のオーバーフローによる河川等への汚染の問題があったが、グリーンインフラを用いて機能的で美しい街へと変わっていったとともに、不動産価格が上昇し、全米住みたい街になりました。  日本でも、洪水問題やヒートアイランド問題、下水道施設の老朽化及び更新にかかる莫大な費用の問題など多くの問題を抱えています。 3000㎡以上の開発については、雨水流出抑制を義務付けられておりますが、3000㎡以下での開発についても、自主的にグリーンインフラを活用し住みやすく美しい街づくりと、災害に強い街づくりを目指したいと考え、ポートランドの事例を視察しました。

※グリーンインフラとは自然環境の機能を活用し、様々な課題解決に活用しようという考え方 (国土交通省 グリーンインフラ より)

 

レインガーデンによる景観形成

 
視察先 
  • hassalo on8th
  • ナチュラルキャピタルセンター
  • ターナースプリングスパーク
  • ZGF Architects
  • オレゴン・ヘルス&サイエンス大学
  •  エリザベス・カラザーズ・パーク
  • サウスウエスト・ペノイヤーストリート
  • サウス・ウォーターフロント・グリーンウェイ
  • kailashエコヴィレッジ
  • テッドさん宅

 

 

街を走る路面電車


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 ポートランドの街並み

ポートランドでは、サステナブルでクリーンな公共施設に力を入れており、車を使わなくても移動できるよう路面電車を街中に走らせ、車によるCO2削減を図っています。 また、車での移動を少なくするため、高速道路や幹線道路においては有料化を目指しているとの事でした。 

建物は歴史的な建物が多く残っており、建物を保存し改修再利用する事で、スクラップビルドによるCO2発生を抑えて低炭素社会を目指しています。  また、市と民間企業はパートナーシップとして、良いものは評価し還元や賞などを作って進めていく形が出来上がっています。

 

  

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雨水を巡らせる事で流出を遅らせる施設

 

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雨水を巡らせる事で流出を遅らせる施設

 

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雨水浸透機能を持つレインガーデン

 

 街の至るところに雨水流出を遅らせる仕掛けが施されており、それはどれもデザイン化され、表に出す事で親しみやすく蒸発や蒸散効果を促すと共にメンテナンス性の高いものとなっていました。

 

 

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雨水浸透施設を持つレインガーデン

 

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雨水を巡らせる事で流出を遅らせる施設

 

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建物と道路をレインガーデンで繋ぐ工夫

 

 

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サラさんによるポートランドの案内

 現在では、ポートランド環境局に見学の要請が多くなっており、市が対応出来なくなっているため、ポートランド州立大学の「ファーストストップポートランド」という大学のプログラムによりサラさんからポートランドを案内していただきました。

 

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雨水を使った人工的な川

 

Hassalo on 8th (ロイド地区)

Hassalo on 8thにあるロイド地区は、単数の街区で形成するのではなく、4街区に及ぶ開発です。 複数のブロックで形成し、建物の高さを変えたり空地をシェアする事で光や風を呼び込む事でサスティナブルな開発になるよう工夫していました。  

この地域は合流地域に指定されているが、都市地域では初めて敷地内での下水及び雨水の排水を処理・再利用する事例です。

空地には、人口的に作った川に雨水を流し循環させたり、雨庭を配置し、敷地内に降った雨をコントロールしています。

 

 

 

 

 

NORM

 

Hassalo on 8th(ロイド地区)  NORM

NORM(ノーム)とはNatural Organic Machine の略でバイオディアクターです。  赤いタンクで街区の排水を集め、生物分解により処理し、煙突から反応ガスを排出しています。 この事により、下水を一旦処理してから流すため下水道施設の負担を減らしており、試算ではダイレクトに排水する施設に比べこのシステムにより汚水管の耐用年数うを倍にまで伸ばす事が出来るとの事。 また、あえて表に出すことで住民等が意識されるよう配慮しています。 

このNORMを開発地に採用する事で開発事業者は容積率の緩和や手数料のカット等により、環境について民間と行政がWIN-WINの関係となるような仕組みになっています。

 

Natural capital center (エコトラスト)

   

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エコトラストのあるパール地区は、元々倉庫が多い所でした。 世界大戦以降荒廃していたが、地元の生態系を改善しようという団体が、歴史的な建築物をサステナブルな建築物に改修した事例です。 解体し新築(スクラップビルド)するのではなく、既存の建物を再利用する事が最もエコである事は事実であり、さらにこの建築物は屋上緑化や敷地内に雨庭を形成し、雨水のほとんどをろ過浸透させています。 また、太陽光発電パネルも併設しビルの10%のエネルギーを供給しています。

 

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 PACIFIC NORTHWEST COLLEGE OF ART 正面玄関

 

 

 

エコトラスト屋上 

 

 

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エコトラスト 屋上緑化 

雨天時に、土が流れ出さないよう仕切りと石を設けている。

 

 

 

 

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エコトラスト屋上 緑化ゾーン(入れない)とパブリックゾーン(入れる)を明確に分けており、屋外暖炉やベンチ・テーブル及び植栽を設け気軽に利用できるよう工夫されている。

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Tanner springs park

ドイツのHerbert  Dreiseitiによるデザインで3つのコンセプトで出来ています。    

1.思索にふける場所

2.コミュニケーションの場所

3.アクティブな場所

 

ターナーズスプリングスパークは、持続可能な公園の設計と管理の実験として計画されました。以前は汚染された工業用地舗装の下に貯留槽があるような場所でしたが、人々は集まる場所にするため人間が作り出した自然の公園化されました。 ポートランドパークスとレクリエーションのスタッフは、絶えずこの公園の管理を調整して、この生態系の維持をしています。    元々あった機能を再現するため湿地や循環する川を流し、周囲の雨水を受ける役割があります。  水の流れを表面化し湿地の上にデッキを設けたり、通路に沿って川を流す事で、人と自然の距離を近くする工夫がされています。 また、雨水が浸透するゾーンと浸透しないゾーンと流れのあるゾーンを明快に分けて計画することで、それぞれの機能も明確にしていました。 

 

雨水を道路下に雨水排水路に流すのではなく、そのすべてが公園内でろ過されています。 水が下流へ流される循環経路で紫外線システムが使用され、天然の土壌ろ過も使用されています。 この公園の水処理は、化学薬品等は一切使用されていません。

※公園内看板の情報を流用 

 

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雨池の右に見える波状の壁を作る99本の柱は、19世紀後半のポートランドの鉄道ヤードに使われていた線路を再利用しています。

 

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ターナーズスプリングパークの石畳

公園の小道に使用されている石畳は、もともとコロンビア川を上っていく船のバラストとして機能していました。 それを再利用されています。

 

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ターナーズスプリングスパークの小川

 

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ターナーズスプリングスパークの説明看板

公園を訪れた人が、公園の機能を知る事が出来るよう説明看板を設けています。  

 

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退屈な動画かもしれませんが・・・

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